事故の原因を赤字経営に押し付けていいのか?

JR北は省令違反、レール異常放置で国交省 (読売新聞)

 国土交通省は28日、JR北海道に対する特別保安監査を終え、レール異常の放置が鉄道営業法に基づく省令に違反することを明らかにした。

 監査は、レールの保守管理のほか、経営体制も含む各分野で行われた。今後は、監査で収集した資料の分析や、野島誠社長ら幹部への聴取内容などを精査。鉄道事業法に基づく事業改善命令の適用を検討しており、引き続き追加監査を断続的に行う方針。

 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130928-00000797-yom-soci

JR北海道が、検査で見つかった異常を1年以上放置していた、というのが話題になっています。報道を見ていると、JR北海道は赤字体質で、民営化後に人員を大幅に削減したことが今回の事故につながってのでは・・・という論調が多い。確かにJR北海道は平成25年決算で300億円の営業赤字になっており、経営が苦しいのは間違いない。

ただ、今回の件について、赤字だから…(しょうがない)ととらえる風潮が出てきているような気がして、とても違和感がある。

 

そもそも検査してるのに結果の異常を放置すること自体が法令違反で、経営が黒いとか赤いとかいう以前の問題ではないかと思う。「あんた何のために検査してるのさ?」という感じがする。これを「赤字だから…」と言っていると世の中の赤字企業はいくらでも法令違反していいことになる。経営が苦しくても半強制的に改善させるために法令で縛っているのだ。経営が苦しくても鉄道事業者としてのルールを守って安全運行に努めている事業者は間違いなく他にはいる。

毎年300億円の赤字を経営安定基金で補てんされ、つい2年前には600億円の経営支援の補助金を交付したのに、ほかの鉄道事業者に比べて経営環境が悪いとはとても僕には思えない。少なくとも、異常に対して適時適切に対応するぐらいの経営体力は間違いなくあったはず。

 

一方で、こういうことになってしまったものをどうやって改善するのか?というのは行政的には重い問題だと思う。法令で縛ってもだめ、補助金でアメをあげてもだめ、となると行政が持っているツールでは解決できない領域に足を突っ込んでいるのでは、という気がする。

報道を見る限り、「保守は現場任せだった」とか「異常があると聞いていない」とか現場までガバナンスが効いていないようなので、おそらく法令改正でそこを手当していくことになると予想しているけど、そんな一企業の情報伝達まで政府が関与するなんて変な時代になるなと思う。逆に、そこをルール化したところで企業文化が変わらなければ今回の検査と同じ結果になるのではないだろうか。

 

JR北海道に限らず、経営が安定していない鉄道会社はそこかしこにいるし、これから少子高齢化で鉄道利用者は間違いなく減っていくだろうと思う。長距離路線は一定の需要があるだろうけど、ローカル線は危機的だ。そういう時代にあって、運行の安全をどうやって確保していくのか。日本全国で重い課題になるのは間違いない。

 

事業者は当然に当事者の責任を自覚する必要があるけど、ユーザー側でももっと貢献できることがあるんじゃないかと思う。(鉄道ファン向けに「軌道保守体験会」とかやったら盛り上がるんじゃないかと思うけど、どうだろう?)