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U-Turner's Journal @Toyama

富山にUターンしてきました。

中心市街地はおじいちゃんだらけ??

 ※今回のエントリーは富山市の地理を知らない人には超わかりづらい内容ですが、ご容赦ください。

 

仕事の一環で、富山市の高齢者世帯の分布を調べていたところ、その発展で面白い気づきがあったのでご紹介。

富山市全体では、高齢者のみ世帯率(65歳以上だけで構成された世帯の比率)は17.3%、子あり世帯率(18歳未満を含む世帯の比率)は25.0%です。ざっくりいうと、5世帯に1世帯は65歳以上のおじいちゃん・おばあちゃんしかおらず、4世帯に1世帯は子供がいるということです。

この2つの数字についてもう少し細かく見るため、富山市の中学校区ごとに整理してみました*1。同じ市内でも、子供の多い地域と少ない地域、高齢者の多い地域と少ない地域が分かれていることがなんとなくわかります。

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この結果を、富山市平均値である高齢者のみ世帯率17.3%、子あり世帯率25.0%という数字をベンチマークにして各中学校区を四象限に分割してみました。

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 左上は子供のいる世帯が多く、高齢者のみの世帯が少ない地区。つまり、子育てする人が多い、比較的若い地区と見ることができます。便宜上「成長地区」と呼ぶことにします。

右上は子供のいる世帯も多いですが、高齢者のみの世帯も多い地区です。これはおそらく、まだ子育て世帯も多くいるものの、子供も独立し、親たちも高齢化した世帯もだんたん増えている地区と思われます。「成熟地区」と呼んでみます。

右下は子供のいる世帯が少ないのに、高齢者のみの世帯が多い地区です。この地区は右上の成熟地区からさらに進み、子供も独立し、35年ローンで家を買った親たちが大勢残っている地区でしょう。そのものズバリ、「高齢地区」とします。

左下は、子供のいる世帯も高齢者のみの世帯も少ない、というところですが、ここは富山大学の近くなので、アパート暮らしの学生がいっぱいいる影響と思われます。この人たちは将来にわたってここに住むわけでもないし、毎年人が入れ替わる地区とみることができるので、「仮住まい地区」と呼ぶことにしましょう。

 

これを地図上にプロットしたものが次の図です。富山市内の地理を知らない人にはまったく理解できない図で大変恐縮ですが。。。

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こうやって見ると、図の真ん中、富山駅の周辺の「中心市街地」と呼ばれるところがすべて高齢地区になっていることがわかります。一方、そこから郊外に出たところ(興南や速星、藤の木など)は成長地区になっています。ざっくり言えば、中心地には35年ローンの果てに夢のマイホームを手に入れたおじいちゃん・おばあちゃんたちが大勢陣取っていて、若者たちは土地を求めて郊外に進出している、ということです。

 

つまり、子供の成長と独立・親の高齢化というミクロな家庭内の動態が、都市の人口構成に影響を与えているのです。住宅地に若い世代が集まり、子供を育て、やがて子供が独立すれば、最後には高齢者が取り残され、その地区は高齢化する、ということです。都心のように土地の流動性が高いところは別にしても、持家志向が続く限り、土地に張り付いた人が高齢化すれば都市も高齢化する。

 

単にまちづくりだけでなく、財政制約的な意味でもスプロールが問題になっています。ここ10年、20年ぐらいコンパクトシティというお題目が掲げられて久しいですが、中心部には高齢者が30年前から陣取っていて、若い世代にはもはや入る余地がないのではないでしょうか。今や日本人の平均寿命は80歳を超えてますし、その人たちが資産を手放すのを待ってたら街中に住もうとしたってなかなか順番は回ってこないでしょう。

 

成長地区から成熟地区を経て高齢地区に至るこの流れは、不可逆的に進行します。これは避けられない。ただし、都市が生き残っていくためには高齢地区から成長地区へ還元することが不可欠です。中心市街地活性化のためにいろんなイベントをやるのは大いに結構ですけど、こういう構造的なところも何とかしてかないといけないんではないでしょうか。

*1:前述の数字も含め、このエントリにあるデータはすべて国勢調査のデータをもとに私が加工したものです。集計上の誤りなどがあればすいません。