人口減少は市街地すら過疎地にする

毎年元日に公表されている厚生労働省の人口動態調査が今年も発表されました。平成25年の推計値では過去最大の24万人減との推計で、日本の人口減少は加速度的に進んでいることがまた明らかになった格好。

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24万人の減少といっても、日本の人口はまだ1億2000万人もいるわけで、約0.2%でしかないので大した数ではないようにも感じられます。しかし、鳥取市の総人口が約20万人ですから、1年間に鳥取市が1つ以上消滅したと考えるとなかなかすごい数値です。しかもこれは今年だけの話でなく、今後も続いていくことは間違いない。

 

しかも、特に重要なことは、人口動態の変化は日本全国一様というわけではないということです。マクロに見れば、東北や四国などは高齢化のピークも速く、人口減少のスピードも速いけど、首都圏はもうしばらくは人口が増えるし、減少の速度も遅い。個々の都道府県の中でも粗密があるし、更に細かく見れば同じ市町村の中でも違いがある。

 

次のグラフは、過去2回の国勢調査の結果から、若年人口(仮に40歳未満としました)の増減と地区人口の増減を整理したもの。*1

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もはや富山市内で比較的若い世代が増えている地区は3地区しかなく、地区のおよそ半数は過疎化が始まっている。富山駅最寄りの比較的立地がいい奥田や中心市街地にもかなり近い大泉もたった5年の間に10%近い減少となっていて、ヘタをすれば半世紀で若者がいなくなってもおかしくないペースです。

 

次のは前期高齢者(65歳以上75歳未満)と後期高齢者(75歳超)の増減を整理したグラフです。

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これを見ると、後期高齢者は着実に増加しているものの、その後ろに控える前期高齢者ですら早くも減少している地区がかなりあることがわかります。当面は団塊の世代が地域の人口を支えるかもしれませんが、徐々に高齢化すらピークアウトし、過疎の時代が始まることがもう見えてきている。しかも、一般的な過疎のイメージと違い、市街地のど真ん中で過疎が始まりつつある。(中学校の位置はこちらをご参照ください)

たとえば、大泉なんて市内電車も通っているし、富山地方鉄道もあるし、超一等地のはず。にもかかわらず、若者は寄り付かず、高齢者すらもいなくなり始めている。その一方で、藤木や速星など、富山市の周辺部は宅地開発が進んで若者が集まってきている。これは富山市が旗を振りまくってるコンパクトシティとは全く逆の動き。

 

おそらく、若者がいないと言うことと高齢化のピークアウトとは原因が同じと考えられる。以前分析したように、立地がよい中心部にはずっと昔から住んでいる高齢者がいて、彼らがいる限りは若年層は内側に住むことはできない。富山は持ち家率が高いので、いったん中心部に家を建てると流動性はかなり低くなってしまう。

しかも昔できた住宅地は最近の分譲地と違って区画もきれいに整備されていないし、周囲の建物だって古くてあまりいい印象はない。その一方で立地はいいので地価は高い。たとえば同じ住宅地でも婦中町の平米当たり単価は3万円程度だけど大泉だと倍の6万円ぐらいしちゃうわけで、仮にマチナカに土地が売りに出されていたって、費用対効果を考えればそんなところを狙おうとはとても思えない。

 

少子高齢化・人口減少というと、一見、山間部のイナカだけの問題のように聞こえるけど、住民に流動性がないと都市のど真ん中であっても過疎化してしまう。取り残された都市の過疎地を開放・再開発していかないと、地方都市なんてあっという間にスラム街みたいになる可能性が高い。

*1:地区は中学校区を単位に集計