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U-Turner's Journal @Toyama

富山にUターンしてきました。

建設業は介護に進出する”べき”だったのか

大臣の「定例会見」というものがある。

毎週2回、火曜と金曜には定例の閣議が開催され、この閣議のあとには記者会見が行われる。

この記者会見では、その日の閣議案件(法律の閣議決定やその他の閣議報告案件等)が説明され、記者との質疑応答がある。閣議案件がなくても、所管行政の動向に関する質問が出ることもある。

Paul Keheler / Foter.com / CC BY

 

先週火曜、14日の大臣会見では、ちょうどその日に建設産業活性化会議が発足するため、建設業の人材不足に関する質問が出ていて、なかなか印象深いやり取りだったので備忘録的にご紹介。

(記者)...国土交通省の言い分は分かりますが、今建設業界を離れてどういったことをやっているかと言いますと、大体特老ホーム(特別養護老人ホーム)等経営をされている方が多いと思います。

それを一度(建設業界から)離れた人を戻すということで、では特老ホームの人材確保というのはどうするのか、あと人材確保をする上で、今後もしっかり仕事が出来るようにということは、これまで自公(政権)でシーリングを下げてきましたが、シーリングを見直していくのでしょうか。...要は都合が良すぎるのではないかという部分があるかと思います。

 

(答)ちょっと認識が違うと私は思っています。まず、建設業から離れてきたというのは、急激に予算を削ったりしまして、これが急に行われたということがかなり影響があると思っておりまして、倒産が起きたり、見込みが無いということで離れたり、あるいは企業の側は赤字覚悟で仕事をとったりという様な状況が続きました。そこで国が政策的に特別養護老人ホームとかそういうところに配分したのでは無く(以下略)

 (強調は筆者による)

これだけではよくわからないと思うので少し解説すると、2000年代に公共事業関係費を圧縮しまくった結果、食い詰める建設業者が増えてダンピングが横行したため「もう建設業のパイは減りまくっているから、べつの業種に転換したほうがいいよ」ということを暗にいって”事業の多角化”を進めたわけです。

その中で農業とか福祉とかを「成功事例」としてもてはやしていたのに、今さら「建設業の人材確保が大事」とはいったい何さまのつもりなんだ、というのが記者の趣旨で、事実上政策が転換していることに対して「都合が良すぎるのではないか」とっているのです。あんたがやめろっていったんでしょ?と。

 

明確に国が「特養をやりなさい」と人材を振り分けたわけではないのは大臣の言うとおりですが、国も自体も、事業を多角化しないと生き残れないよと煽りまくってたわけで、当時の雰囲気がそういうものだったのは否定できない*1と思います。実態上、政策の方向がガラッと変わったのは間違いなく、記者の指摘は一定程度は的を射ていると思います。

 

結局のところ、労働移動みたいなマーケットが決める分野について、行政がああだこうだいって「こうある”べき”だ」とべき論を振りかざすということ自体、どう転んでも批判を受ける温床だというころだろう。政府が政策誘導してたところで、マーケットは日々刻々変わるし、下手に政策として立ち上げてしまうと、今回のように急旋回できなくてうまくいかなくなってしまう。きっと、業行政をやるということは批判されることから逃れられないのだろうなぁ。

 

もっと言えば、建設業の産業振興みたいな話と、いち消費者として建設業を利用する話がより混乱を招いているんだろうと思う。建設業は良くも悪くも最大の消費者が行政なので、産業政策を行う者と消費者が同一になってしまっている。

これまでは予算も削られてる(消費者の視点から見ても供給量に困ってない)し、産業政策的にも過当競争でつぶしあう構造がよくないし、ということで、建設業の多角化を進めてきた。

それが、急に需要過多になり、消費者的立場から苦しくなってきたということ。(今は価格高騰ぎみなので、業界保護的には悪い状況ではないのだろうけど。)

*1:たとえば、これは自治体ですが、建設業の介護参入に今も補助金を出してたりする