『なんで官僚辞めちゃったんですか?』の理由(理由の前に、自分の職務経歴)

6月も晦日。2014年も折り返しです。

僕は去年の6月末で国土交通省を退職したので、”下野”してこれでちょうど1年経ちました。

 

 

ありがたいことに、ようやく富山でも知り合いが増えてきました。

新しく知りあった人に自分の略歴の話をすると「なんで官僚やめちゃったんですか?」とよく聞かれます。でも正直、1年も前に何考えてたかなんて、まったく覚えてないのですが、聞いていただいてる手前、それらしいことをポツポツと言ってその場を濁していることが多い。

それもちょっと格好がつかないなということで、改めて転職を決意した理由を整理したいと思います。

理由その0:理由の前に、自分の職務経歴

官僚を辞めた理由はいくつかあるのですが、それまで自分が仕事の中で感じたことが多分に関係しているため、先に自分の職務経歴をご説明します。

 

僕は新卒で国交省に入りました。大学が土木工学科だったので、I種試験(今の総合職試験)の理工I区分を受験し、土木系キャリアとして入省することになりました。

 

土木のI種職員はだいたい入省後2,3年は地方で工事とか設計とかの実務に”近い”ところで働くことになっていて、僕も同様に最初は広島で、次は島根の出先の事務所の勤務になりました。事務所では工事の発注やら堤防の整備計画の検討やら費用対効果の検証やら、幅広く経験できました。事務所の先輩職員は落下傘的にやってくるキャリアの僕にもとても優しく、時にはめちゃくちゃ厳しく指導してくれましたし、業務や工事の受注先のコンサルやゼネコンのおっちゃんたちはペーペーなのに発注者というだけでエラそうな僕にいろいろ教えてくれました。

神は細部に宿る、というわけではないですが、実務担当者の優秀さというか、現場力の強さがアウトプットの出来を決めるのだなと強く感じました。

 

広島も島根も、自分はまったく地縁がない場所だったので、赴任中はあちこち観光して回りました。特に島根なんてそれまで一回も行ったことがなかったですし、「島根と鳥取はどっちが右か」なんてこともわからないぐらいでした。ですが、そこに住み、そこの人とつきあいができ、自分の足で回ってみると、その土地その土地に物語があるよく「地方」とか「田舎」とかとひとくくりにされがちな都市にも、それぞれ個性があるということを実感して、僕はこういう都市をもっとよくしたい、していかなければならないと思いました。

 f:id:u-turner:20100207172850j:plain

その後、本省の鉄道局に異動になりました。鉄道局では整備新幹線を担当しました。新幹線というと「子供のころからずっと富山は新幹線の工事をしてるのに、いったい何時になったらできるんだ!!」と思っていたので、いざ自分がその担当者になると思うとなかなか感慨深かったです。来年春にはいよいよ北陸新幹線が金沢まで開通。富山県では毎日新幹線のニュースが流れているので感慨もひとしおです。

2012年には整備新幹線未着工3区間(新函館・札幌間、金沢・敦賀間、諫早・長崎間)の同時着工にも関わりました。3区間の総事業費が3兆円の超巨大プロジェクトで、総事業費の検討や費用対効果分析等、事業化のコア中のコアの部分を担当していました。

なんてったって事業費3兆円。サラリーマンの平均生涯賃金が3億円と言われていますから、サラリーマン1万人分の巨大事業です。いち係長でありながらマスコミには囲み取材されるし、よくも悪くも自分の担当している仕事がマスコミに大きく取り上げられるのを見て、なんだか自分が大人物になったような気がしました。

でもよく考えればそんなことは全くなく、たまたま座った座布団が大きかったというだけの話で、社会の注目度と自分の実力が釣り合っていないことが、無性に悲しく感じられるときがありました。 

f:id:u-turner:20110727151837j:plain

 

新規着工プロジェクトがひと段落した時点で、次は仙台に異動になりました。そこでは東日本大震災で被災した鉄道路線の復旧・復興に向けた調整を担当しました。ここでもいろいろな経験はあったのですが、東北の復興はまだ道半ばのため割愛します。

f:id:u-turner:20120417114147j:plain

 

東北から霞ヶ関に帰ってきて、港湾局に異動しました。港湾局では海上物流の調査を担当しました。統計調査を自前で行ったり、出てきた統計データを分析して我が国の海上物流の課題や世界における位置づけを整理したりする、アナリストのような仕事でした。

それまでのポストは「発注者と受注者」とか、「鉄道会社と鉄道行政」とか、かなり閉じた世界で仕事をしてましたが、港湾局での仕事は社会経済動向を読む仕事だったので、ものすごく面白かったです。ものすごく面白かった一方で、ビジネスの世界はいろんなプレイヤーがシノギを削っているのに、行政のやることはイチイチ動きが遅く、また、本質的でないことが多すぎる、と思った。具体的どこが本質的でないかというと、守秘義務があるのでモガモガ、、、

f:id:u-turner:20040103024638j:plain

 

こんな仕事の中でいろいろと思うところあり、2013年の6月、僕は国交省を退職した。

(続きは次の記事で)

 

『なんで官僚辞めちゃったんですか?』の理由

理由その0:理由の前に、自分の職務経歴

理由その1:肩書に左右されない”個人”として生きたかった

理由その2:インフラは”つくる”だけでは勿体ないと思った

理由その3:(気が向いたら書きます)