親の近所に住んだからといって少子化対策になるわけはない

石破大臣が「少子化対策に親との『近居』を」という発言をしたそうですが、なんだか聞くだけで頭がクラクラしてきそうです。

石破地方創生担当大臣は、内閣の重要課題の1つである地方創生の実現に向けた少子化対策に関連して、「子どもがたくさん産まれるということは、『男性がどれだけ家事をするか』にかなり密接に関係している。本当は、おじいさん、おばあさんと三世代で一緒に暮らすのがいちばんよく、そうした環境では子どもがたくさん産まれやすい」と指摘しました。

(NHKニュースより)

 

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画像は@DIME 【家事男(カジメン)のススメ】問われる男の家事イズムより

 

僕の両親は祖母と同居していて、まさに三世代で一緒に暮らす家庭でした。

 

共働きだったので、僕の面倒はほとんど祖母が見ていた。祖母は基本、家にいるので、「小さい子供がいて、でも働かないといけない」という家庭では大変ありがたい存在だったと思う。

 

では、それを今、再生産したとき、同じようなことができるだろうか?

 

今の僕の住まいは実家から車で40分程度で、まったく遠いというわけではない。何かあった時にちょっと顔を見に行くことはできるし、どうしても手が欲しいときにちょっと”おつかい”を頼んだこともある。

 

とはいえ、僕の感覚では、近くに住んだとしても、”ちょっと助かるときがある”というぐらいの効果が関の山だと思います。

同居・近居が出生率を上げたり、女性の働く環境を改善したりする抜本的な効果はおそらくないでしょう。

 

なぜか。

 

それは親との同居が子供の助けになるというのは、「母親は仕事をしておらず、家にずっといる」というのが暗黙の前提になっているから。

 

今や専業主婦世帯よりも共働き世帯のほうが圧倒的に多いのに、いったいいつの時代の話をしているんだろうか?基本的な現状認識ができてないんじゃなかろうか。

 

しかも、今は65まで働くのが当たり前になりつつあるわけで、親だって年金が出るまでは還暦過ぎても働いて金を稼がなきゃならない。いや、年金が出る年になったとしても働けるうちは働こうとさえ思っている人も多い。

 

仮に子育て世代が25~30として、その親世代は50~60ぐらい。年金を65歳から受け取ると思えば、少なくともあと5年~15年も働かないといけない。

孫の面倒を見るとすれば当然に子供が働いてる時間帯になるわけで、そんな時間は当然、親世代だって働いているわけですよ。

この人たちがみんな「孫の面倒を見ないといけないから仕事辞めます」と言うだろうか?当然、そんな都合のいいことはなくて、むしろ「孫におもちゃ買ってあげたいから仕事続けさせてくれ」と言いますよ。

 

家事や子育てを家族・親族だけでやりとりしようとすれば、誰かは働けなくなってしまう。人間に与えられた時間は24時間しかないんだから当然のこと。

しかも、仮に家事労働が移転したとしても、これは親世代から子供世代に労働力を付け替えただけで、全体としての労働力はまったく改善していない。

 

結局のところ、これって「女は家事をやってればいいんだ」というマッチョ思想を「ババアは家事をやってればいいんだ」に拡張しただけでしかないわけです。

 

 

このほかにも、親の近くに住むとして子供に仕事はあるのかとか、ツッコミどころがかなりある。”古き良き日本の家庭”への回帰願望を少子化対策にひっかけてで言っているのではないかとさえ思えてしまうが、そういう思い付き政治からそろそろ脱却していただきたい。