「家庭は素晴らしい!家庭サイコー!!!」と高らかに叫んだところで何も解決しない

TLにすごいツイートが流れてきた。

 

さすが田母神さん、一週回って清々しさすら感じさせる懐古主義っぷりです。

 

「家庭を取り戻す」なんて簡単に言うけど、ここでいう家庭って昭和以前の大家族・家父長制的「イエ」のことでしょう。

確かに、大昔の「女は家庭」で「大家族」という時代にさかのぼることができるなら、家事労働に専従する人が増えるわけですから、介護や子育ての財政問題は一部は改善するかもしれません。

sheilaz413 / Foter / CC BY-NC-ND

 

仮にそうだとして、問題はどうやって実現するかということ。そこ抜きに「家庭は素晴らしい!家庭サイコー!!!」と高らかに叫んだところで、何の解決にもならない

 

そもそも、介護保険制度や保育制度なんてのは、核家族化や女性の就業機会の拡大という社会全体の流れに適合する形で制度化されたもの。介護保険や保育所をなくしたところで核家族傾向や女性の就労志向が減退するわけがなく、むしろ”不本意な”家事労働専従者が増えるだけです。

 

「”家庭”を取り戻して介護や子育てを女にやらせます」というのは「時計の針を逆回しにすれば時間は遡ります」と言ってるのに等しい話で、不可逆的に進んでいる人の多様性志向を、「男は仕事、女は家庭」という方向に収斂させることはできない

 

そもそも、これだけ人間が長生きする時代に、家族だけで介護を完結させるなんて土台無理な話です。平均寿命は男女とも80歳を超えている中で、例えば祖父母が90歳、両親が70歳なんてシチュエーションはざらに起こる。

祖父母・両親ともに要介護状態だなんてことになったら、子供は4人全員を介護しないといけない。この中に認知症患者や寝たきり・全介助の人がいたら、働き盛りの40~50代で介護しながら働くなんてのは無理ゲーもいいとこです。

仮に奥さんが介護に専念したとしても、介護施設だって2交代から3交代で24時間介護をしてるのに、一人で24時間介護するなんてどう考えても無理。こんなのは少し考えればわかることです。

 

これは以前にもブログで書いたけど、家族介護が成立するのは「子供が沢山いて同居or近居」「専業主婦」「年寄りは早く死ぬ」という条件がないと成り立たない。今は、「子供は少ないし都会へ出ていく」「女性は当然に働く」「じいちゃんは長生きする」という時代なんですよ。

 

仮に家族や子育ての諸制度をぶっ壊して「女性は当然に働く」を否定したとしてもそれ以外のものは押し戻せない。結局、今まで働いていた女性の労働力が減るか、子育てが難しいから子供を産まなくなるか、介護をしたくないから親を見捨てるか、という社会になってしまう。どう考えてもデストピアでしかない。

繰り返しになりますけど、 「家庭は素晴らしい!家庭サイコー!!!」と高らかに叫んだところで、何の解決にもならないわけです。

 

この手の話、田母神さんほどの有名人でなくてもいろんな人が同じようなことを言っているけど、こういう主張をするおっさんたちは、自分が家事も育児も介護も出来ないのを認めたくないだけで、「これは自分はやらなくていいことなんだ」と言って自分がポンコツなのを正当化してる。

 

こういう大家族懐古主義者は、例えば自分の奥さんがもし何かの病気で寝たきりになったりしたらどうするんでしょう。「介護は女がするもの」とか言って子供か兄弟かにやらせるんでしょうか?