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U-Turner's Journal @Toyama

富山にUターンしてきました。

地方発ビジネスのポジションについて

社長から「商売のタマを何か考えろ」と言われており、ここ最近ずっと悩んでいる。

考えろといわれてスポーン!と出てきたらこんな楽なことはなく、地方創生なんてしなくていい話だ。

 

頭の整理のため、「買い手」「売り手」に着目してマトリクスを切ってみた。
以前読んだ冨山和彦の本にあったG型産業、L型産業という切り口がとても腑に落ちたので、それを参考に「買い手」「売り手」をそれぞれG型、L型に分け、身の回りの業界がどう分類できるか整理した。

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買い手のGとは、モノやサービスの買い手が生産地に縛られず存在するもの。例えばfacebookはメンローパークの人しか使えないわけではなく、利用者は世界中にいる。

買い手のLとは、買い手が特定の地域にしかないもの。富山の家は富山の人しか買わない、ということ。
売り手のGとは、モノやサービスとその生産地との関わりが薄く、平たく言えば「どこででもつくれる」ものだ。保険の商品は大体東京で企画をつくっているけど、本来的にはどこでつくったっていい。
売り手のLとは、その地域でしか生産できない、地場性が高いもの。例えば介護はその地域の高齢者が対象なので、東京に介護福祉士が何人いたところで富山に介護サービスを提供することはできない。

 

この2軸で切ってみると地方でのビジネスの座標軸が見えてくる気がする。

 

①L×Lの商売

地方都市の商売の基本は、L×L、すなわち、そこにいる人たちのためにそこにいる人たちがやる、地産地消だ。弊社の医療・介護はもちろんのこと、飲食や士業もここに当てはまる。

よく考えると、富山で元気がいいイケてる若手の経営者のほとんどは、飲食や不動産を生業としている人が多い。

 

L型消費者を対象とするこの分野は、今後高齢化と人口減少が襲ってくる世界だ。ただ、明日いきなり人口が半減するということはないので、市場シェアをきちんと維持して、顧客ロイヤルティを高めていけば安定的に稼げる分野でもある。

 

②G×Gの商売

L×Lとは逆に、原理原則的には全国どこでも生産でき、顧客が地域に関係なくいるようなものがG×Gの分野。富山だとアメホのコールセンターがあるし、インテックもここに該当する。YKKもそうだろう。この分野は日本全国、下手をすると世界中と戦わないといけない、レッドオーシャンの世界。

インテックなど特にそう感じるけど、富山でこういうレッドオーシャンの業界で戦うというのは相当大変なことだ。

確かにコスト的なことを考えれば、オフィスのコストや人件費は東京の一等地とは比べ物にならないくらい安価かもしれないが、背後に首都圏4000万人の人口を負っているのと人口100万人の富山では人材確保の苦労がまるで違う。

全然違う地区だが、宮崎からECサービスを全国展開しているアラタナは本当にすごいことをやっていると思う。

 

この間にあるのが、G×LとL×Gだ。

③G×Lの商売

G×Lはかなりわかりやすく、その地域ならではの「地域らしさ」を全国に売っていくというものだ。観光業なんてまさにそうだし、農産物や伝統工芸品もここにあたる。

最近では海外へのお土産でも人気の能作はまさにこの分野。

ここは、地域のソトの人に「いいな」と思ってもらえるような「地域らしさ」を再定義すること、それをブランドとして発信していくこと、商品を商流にのせることが難しい。

L×LからこのG×Lにスイッチングすることを目指しがちだけど、これは本当に難しいことだと感じ。

弊社も首都圏からリハビリ患者の受け入れなどをできないかと最近画策しているけど、「患者やその家族にどうやって認知してもらうか」「首都圏の急性期病院に営業をかけるか」などなど、考えるだけで途方もない話に思えてくる。

「日本の農作物は優れているから海外でも売れる」という話が最近よく聞かれるが、そもそも海外で売るということ自体に相当なマーケティング的な困難さがある。

 

④L×Gの商売

最後にL×Gだが、これは例えば東京でつくられた保険商品を富山で売るとか、広島でつくられた車を富山で売るとかというような話で、まさに代理店商売だ。

これもL×Lと同じく、地域に人がいる限り一定程度の需要は残るので、ブランドを確立できていれば底堅い。ただ、やはり人口は減っていくので中長期的には尻窄んでいくのは間違いない。

また、L×Gはあくまで中間マージンをいただくという業態なので、地域経済としてみるとキャッシュの流出になっている。もちろんどういう方法でカネを稼ぐかはまったく自由な話なのだけど、地域経済の維持という観点からするとあまりうれしい話ではないのかもしれない。まあ、地域ですべて自己完結しようとするとあまりに非効率なので、そのキャッシュの流出を補うキャッシュインがある産業(G×G、G×L)を地域でしっかり維持することが大事なんだろう。

 

手前味噌だけど、このマトリクスは地方都市の経済を考える上では結構いい補助線になるのではないかと思う。肌感覚としてもL×Lが地域経済の主役で、それは当然なのだが、東京だとG×Gの商売をやっている人が多い気がする。

L型消費者は人口の従属変数なので、一般論としては競合が多くない一方で放っておくとマーケットはシュリンクしてしまう。地域を維持するにはG型消費者を相手にする産業がどうしても必要で、逆に言えばそれが東京の強さ、人を呼び込む源泉なんだろうと思う。

 

弊社は完全にL×L型だけど、同じL×Lで隣接分野の地域ドミナントをとっていくのか、G×Lに積極展開していくのか、はたまたまったく違うビジネスモデルを立ててG×Gで戦っていくのか。

頭の整理はできたが、そう簡単にネタは出てこないので相変わらず悩み続けている。ぐえー。

 

なぜローカル経済から日本は甦るのか (PHP新書)

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