賃貸と持家のどっちが得かそろそろ決着をつけようじゃないか

賃貸に住み続けるか、30年のローンを背負って持家にするか。

 

家は多くの人にとって人生最大の買い物ですが、「賃貸と持家、どっちが得か」というのは今だ決着をみない難問だと思います。

 

先日、仕事で統計データを探していたら、

東京都の1坪坪当たり賃貸住宅の家賃は8,834円

 社会生活統計指標2014年(総務省)

というデータを発見しました。

 

これを一つの目安にして、「賃貸と持家、どっちが得か」というサラリーマン永遠の問題に挑戦してみようと思います。

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モデルケースをつくって比較する

賃貸と持家購入のどっちがトクか。人生は人それぞれなので、個別の事情を考慮しはじめるときりがありません。

そこで、今回は議論をめちゃんこ単純化して、以下のようなモデルケースを想定し、一生の間に支払う住宅支出を比べてどっちが安いかを検討しました。 

・30歳で結婚

・32歳、結婚3年目に第1子誕生

・58歳までに子供が進学等で親元を離れ、夫婦のみになる

・80歳で旦那死亡(男性平均寿命)

・86歳で奥さん死亡(女性平均寿命)

このようなモデルケースに対して、以下の図のような”住まいの面積”の需要の変化が発生すると仮定します。

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賃貸の想定

賃貸住宅のメリットは、その時その時の家族構成や家庭の状態に合わせて住まいを「選ぶ」ことができることです。なので、今回の検討では、ライフステージに合わせてその都度引っ越しを行い、「ちょうどいいサイズ」の家に住むという前提を置きました。

具体的には、夫婦2人+幼児なら40m2(1LDK~2LDK)、子供が大きくなったら80m2(3LDK~)、夫婦だけになったら40m2に逆もどり、独居になれば20m3(~1DK)としました。

家賃は必要面積に対して坪単価8,800m2(東京都平均値)を単純に乗じて計算しました。例えば、40m2なら40÷3.3×8,800=約10.7万円となります。議論を単純にするため、敷金・礼金・クリーニング代・引越代は全部無視して計算をします。

 

持家の想定

 次に、持家の購入の場合のケースを想定します。家は一生に1度の買い物なので、最初から「必要面積のピーク」を狙って買うことになります。今回はピーク面積を80m2と想定しました。

マンションの購入費は、東京都の平均坪単価が200万円くらいらしいので、80÷3.3×200=4,848≒5,000万円と想定しました。住宅ローンは、借入期間30年、金利1%と想定しました。これもいろいろ議論あるところですが、想定によって高くも安くもなってしまい、答えがないので割り切って設定します。これに加え、固定資産税と修繕積立金、管理費でざっくり年間20万円かかるします。

 

賃貸住宅も持ち家もそうですが、港区は高くて足立区は安いですし、新築は高くて築古は安いんですが、いちいち考慮してるとキリがないので、「平均的なモデルケース」とわりきって見ていただきたいと思います。

 

試算の結果

仮定に基づいて計算した結果をまとめたものが下の表になります。

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モデルケースどおり、38歳で購入した場合、賃貸の場合は8,800万円の支払いに対して購入の場合は7,800万円と約1,000万円ほど持家のほうが得という結果になりました。

ケース①の詳細を見ていただけるとわかりますが、持ち家の場合、面積需要がピークとなるときに家賃よりローン支払いのほうが有利になっています。その後、子供がいなくなると過剰な面積を抱えることで賃貸より支出が不利になりますが、60歳ぐらいまではそれまでの家賃削減効果で損益トントンという状況。

ケース①の詳細 

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その後、住宅ローンを払い終えるまでは賃貸のほうが累積の支払額が安い時期が続きますが、人生を通じた損益としては1000万円ほどトクになります。これは、ローン終了後は住宅支出が激減するため、その効果が人生の最終ステージで効いてくる、という計算です。

 

次に、38歳で購入するのでなく、結婚直後の30歳の時にローンを組み始めた場合どうなるかを計算してみました(ケース②)。

ケース②の詳細

この場合、序盤で若干の不利はあるものの、ローンの返済が早く終わるため、ケース①よりも総支払額は抑えられます。トータルでは1,900万円のトクとなりました。

早く買ってローンを返せれば、子供が大学に進学するなどして、一番金が必要になってくる時期に家賃を大幅に圧縮できることになります。これは非常にありがたい効果だと思います。

 

これで長年の論争に決着がつきましたね!スバラシイ!

みなさん、今すぐローン組みましょう!いい業者紹介しますよ!

 

・・・とはいえ、そうはならないのは聡明な読者さまならすぐわかると思います。

 今までの試算はあくまでモデルケースで、世の中そんなにうまくいかない。必ずこうなるなら今頃大東建託は破産してるはずです。

 

賃貸が得になるケースの例

賃貸がトクになるケースはいろいろ考えられますが、そのうち2つのケースを計算したのでご紹介します。

 

ケース③は「結婚後、子供が欲しかったができなかった」という場合です。

ケース③の詳細

この場合、持家が有利になると思っていた40~50代でローン負担が悪い影響を与えています。ローン返済後は前述のとおり持家が有利になりますが、それまでオーバースペックな家を持ち続けていた負担をリカバーできません。結果として、賃貸のほうが880万円有利、という計算になりました。

 

ケース④は、70歳で死んでしまった場合です。

ケース④の詳細

基本は①と同じですが、後半の持ち家の効果が出てくる 時期が短く、中盤の損を取り戻せない。この場合も300万円ほど賃貸のほうがトクということになります。*1

 

人生の不確実さをどう評価するか

持家のデメリットは、自分の人生の突発的な変化に対応できない、ということです。

将来家族は何人になるか、子供はいつまで家にいるか、親と同居するのか、介護施設に入所する可能性はあるか・・・人生には不確実なことが沢山あります。ライフステージのイベントごとに住まいにも影響が生じ、モデルケースから計算がずれていく。*2

今回のケース③、④いずれも持ち家の方が損になる計算を例示しましたが、例えば事故か何かで若いうちに全身不随になったりした場合は保険で住宅ローンが免除される分、持ち家持ってた方がトクということにもなります。

どんな不確実なことが起きるかは、文字通り誰にもわからないので、どこかで割り切って判断をする必要があります。

ここまで計算しておいて何ですが、賃貸だからトク、持家だからトクというのは、結果論でしかないのかもしれません。

 

死んだ後の話

また、今回の計算は、あくまで「自分が生きている間にトクなのはどっちだ」ということしか計算していません。墓場に家は持っていけないので、持ち家の資産性はまったく無視して残存価値は考慮しませんでした。

 

最近は空き家問題がホットですが、死んだ後の家の処分は残された家族にとってかなり大きな課題になります。

ケース①②の場合、賃貸と購入の差分がマイナス(買ったほうがトク)になるとはいっても、そうなるのはかなり高齢になってから。家もそのころには築40年ぐらい経過してかなり劣化していることが想定されます。

特に、マンションは権利関係が複雑なので劣化したからといって簡単に立て替えられないため、家主が亡くなった後で家族が売りに出そうとしても買い手がつかない可能性もあります。

誰も住まない・買い手もつかないけど、税金と管理費だけはかかり続けるとなると遺族にとってはたまらない厄介者です。生きている間は本人にとっては持家の方が有利だけど、死んだとたんに処分できない負債になる、というやっかいな二面性がある。

最近はローコストな注文住宅や分譲住宅も流行っていますが、安くてもあとあと負債になるとなると大きな問題です。家族も含めたトータルの損得を考える場合、将来の可処分性もちゃんと考えないといけない時代かもしれません。

 

着地点ない感じになって申し訳ないですが、今回はこんなところで。。。

*1:この場合は、早く死んだらもったいないのは確かですけど、死んだ後のことは気にしてもしょうがない、という割切もあると思います。

*2:逆に、ライフプランがもう出来ていて、順調に実現できそうで、しかも長生きできそうなら、若いうちに家を買ったほうがいいかもしれません。