新卒採用というリスクテイク

先日、富山市内の中小企業の社長と雑談する機会があった。

 

その方は、10年ほど前から親の経営する会社に入り、事業を承継した2代目社長。別の案件で打合せをしていたところ、社風づくりをどうするか、という話の流れで採用に話題が飛んだところだった。

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曰く、

○年前に社長の息子ということで鳴り物入りで入社したはいいが、社員が全然言うことを聞いてくれない。(現在の主力事業を)新しく始めたかったが、今までの仕事と全然違う業務なので、「社長の息子だからやれ」という理屈だけでは動かない。 

 

その社長は「『自分の考えを理解してくれる社員』を増やさないとダメだ」と考えた。そこで、無理をしてでも新卒で社員をとることにしたという。

まっさらな社員を入れて、自分の考えをひたすら刷り込んで洗脳するんです。そうすれば、仲間が増えていきますから。それでようやく、自分がやりたかったビジネスができるようになりました。

 

その会社はそれほど規模が大きいわけでもなく、(失礼ながら)新卒にイチから社員教育をするのはかなり負担が大きいように思えた。

確かに負担は大きい。私の給料、入社した時から一切変わってないですからね。笑。でも、とにかく任せてOJTする。新卒が継続して入ってくれば、2年目社員も「先輩として指導しなきゃ」と自覚が出てくる。

 

費用対効果は悪くても、あえて新卒を採ることで社風や組織文化をつくっていくことができる、というのは、経営者ならではの視点だなと感じた。

 

 

毎年何十人も採用する大企業ならいざ知らず、教育・研修が未成熟な多くの企業にとって新卒採用というのはあまりにハードルが高い。しかも転職市場が成熟してきたこの時勢、せっかく育った社員が転職するリスクも考えると手を出しにくいというのが本音ではないかと思う。

 

新卒採用は「ポテンシャル」を買う、ということに他ならないので、採用する側も目利きができないといけない。「技能」を買うことに慣れた中小企業にとっては、そういうポテンシャル買いのノウハウがないため、スキルがない新卒には厳しい目を向けざるを得ないところがある。

そうすると、どうしても「私は○○ができます」という"即戦力"に目が行きがちで、中途採用指向が強くなる。

 

 

また、継続して新卒採用をする場合、「採用に見合った業務拡大をできるのか」というのが一番のネックになる。

「世界一厳しい」とも言われる日本の雇用法制の中では、いったん採用すると社員が自主的に辞めるか会社がつぶれるまで面倒をみないといけない。「ポテンシャル買い」でそこまで高いリスクを負えるのか。経営側にはかなりの覚悟が必要だ。

 

 

私自身、今までは「新卒教育なんてできないし、大企業の転職者を雇うのが一番『お買い得』だな」なんて思っていたが、今回の話を聞いてみて"組織づくりのためのリスクテイク"という意味では新卒採用というのも有効な手ではないかと感じた。

一方で、やはり新卒採用のリスクは高い。そして、そのリスクは経営者以外には負えないものだ。

 

いちサラリーマンでしかない私には、まだ判断しきれない、厳しい意思決定である。