創生会議が火をつけにかかった高齢者の地方移住

消滅可能性都市で日本中の自治体を大炎上させた日本創生会議が、新しいネタを投下した。

民間有識者でつくる日本創成会議(座長・増田寛也元総務相)は4日、東京など1都3県で高齢化が進行し、介護施設が2025年に13万人分不足するとの推計結果をまとめた。施設や人材面で医療や介護の受け入れ機能が整っている全国41地域を移住先の候補地として示した。

これは日本創生会議のメンバーの高橋泰先生がずっと前から言ってた話で、病院経営業界ではわりと知られた話ではないかと思う。

内容的にはそこまで新しい話はなく、知名度のあるカンバンにかけかえて発表した、というのが実体だと思うが、マスコミに大々的に取り上げられたおかげで、地方側・首都圏側いろいろ反響があって面白い。


 神奈川県知事なんかは真っ向から反対。

知事は記者団に対し、「介護を必要としない健康な高齢者を増やす取り組みこそが大事。(病気になる前の段階である)未病から治すという県の政策が一番正しい方法だ」と主張。「県内には自然豊かなところもあり、どんどん住んでほしいと政策を進めているところだ」と反論した。


「受入機能が整っている」と評価された鳥栖市はどちらかというと及び腰。

候補に挙がった鳥栖市の総合政策課は「高評価を受けたことは光栄だが、子育て世代に選ばれるまちづくりが基本であることに変わりはない」と語り、提言の賛否には言及しなかった。


今回の「高齢者輸出」というフレーミングがイケてるかどうかはさておき、客観的に見れば、今後10年で後期高齢者が倍増する首都圏の介護をどうするのか?というのは本当に深刻な問題に違いない。

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関東1都3県や京阪神はこれからグングン後期高齢者が増える。今後10年で2倍近くに激増する計算だ。政府がいくら在宅をプッシュしたところで限界はある。

医療需要に限って言っても、今よりも在院日数が短縮され、回転率が上がるという前提で計算しても10年後には8万床、25年後には13万床が不足するという推計がある。

 

神奈川県知事は「介護を必要としない健康な高齢者を増やす取り組みこそが大事」と仰っていて、それはまあそのとおりなんですけど、そういう根性論みたいなところでどこまで凌げるのか。そろそろ「ガンバリマス!」以外の答えを探さないといけない時期に来ているのではないかと思う。

 

高齢者が2倍になれば、今の医療・介護提供体制を前提にすれば、首都圏だけでも定員を丸々2倍にしないとまったくおっつかない話で、高齢者が増えたからといって規制当局が増床の大判振る舞いしてくれるのか?というと疑わしい。

 

結局、首都圏も地方も、自治体が望むと望まざるとに関わらず、高齢者は介護を求めて地方に行かざるを得なくなるのではないかと思う。だって空きがないんだもん、しょうがないよね。

 

この「高齢者は田舎に行け」提言と裏表になっているのが、内閣官房でやっている「日本版CCRC」だろう。どっちも座長が増田寛也。こっちは「田舎に行きたがってる高齢者は元気になうちに受け入れましょう」ということを言っているが、今改めて考えると、出口戦略を内閣官房で考えて、創生会議が火をつけて追い立てにかかっているんだろう。

 

 

ただ、1番気がかりなのは、定員があるのと実際に施設が稼働してるかというのはちょっと違う話だということ。高橋泰レポートは定員=受入枠としているけど、実際には介護人材が足りなくて稼働させてない施設って結構あるわけで、単に高齢者輸出しましょう、というだけじゃなくて、並行して若者もどうやって呼び込むかも、やっぱり考えないといけない。