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U-Turner's Journal @Toyama

富山にUターンしてきました。

民主党政権のせいで鬼怒川は氾濫したのか

鬼怒川の氾濫は近年稀に見る大水害で、まずは被災された方にお見舞い申し上げたい。 

 

ライフラインの復旧はまだ時間がかかりそうだが、応急復旧も進み、排水作業も急ピッチで進んでいると聞く。

ちょっと落ち着いたからか、SNSなどで「民主党政権で公共事業費削減されなければ鬼怒川氾濫しなかった」みたいなことを言ってる人をけっこう見かける。

 

まあ確かに破堤箇所は堤防整備のための用地買収をしていた段階だったので、仮に事業が進んでいてここが整備されていたとしたら、被害がもう少し減らせた可能性はまったくゼロではない。ただ、それが民主党のせいなのか? というと懐疑的で、政権交代前から公共事業費は削減されまくってたわけで、なんでもかんでも民主党のせいにするのはどうなんやろ、という気がするし、そもそも、ちょっと予算上積みしたっていったいどれだけの事業進捗になったのか、という話もある。

 

国管理河川のうち堤防が完成しているのは6割しかない

意外に思われるかもしれないが、全国の国管理河川全体のうち、堤防が完成している延長は全体の6割でしかない。決壊した鬼怒川を含む利根川水系も62%しか整備されていない。日本全国の1級水系のうち、社会経済に与える影響が大きいとされている国が管理しているところでさえ、4割の堤防は計画高に至っていないのだ。

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しかも、当然ながら堤防整備は昨日今日始まった事業ではない。治水は弥生時代から人類の歴史と歩をともにしてきており、治水の歴史は人類の歴史といっていい。まあ、石器時代と現在では治水計画の規模も思想もまるで異なるので、そこを起点に考えるのはアンフェアだとしても、近代土木技術が日本に導入された明治時代から数えても150年。1世紀半にわたってコツコツと継続してきた結果が、現状6割という数字だということをまず認識することが必要だ。


治水事業は超長期のプロジェクト

また、土構造物である堤防は土を盛った後の圧密沈下が落ち着くまで時間がかかるので、技術的にもステップ・バイ・ステップで時間をかけて整備をしていかざるを得ない、という特性もある。

 

さらにいえば、一時の脱ダムブームや河川環境への影響、用地買収など、事業化するには数多くの社会的ハードルがあり、予算をバンバンつければ堤防がバンバンできる、という風にはいかない宿命がある。

 

おそらく、すべての堤防が完成する日は私たちが生きてるうちには到来しないだろう。治水事業は超長期のプロジェクトで、数十年から100年規模で事業をどうするか考える性質のものだ。確かに予算が多くつけば単年度の施工範囲は広げられるかもしれないが、仮にピーク時並みに予算が3倍になったとしても、すぐに60%の整備率が100%になるという話にはならない。

 

要は、堤防整備はコツコツと長い長い時間をかけないと完成することはない宿命にあるということだ。そうである以上、「予算削減なかりせば・・・」というのは後出しじゃんけん的な議論でしかない。もしも今回の破堤箇所の整備が終わっていたとしても別の箇所で破堤していた可能性だってある。


東日本大震災の教訓はどこへいった

そもそも、堤防やダムというインフラ側だけで治水が全部解決する、なんて発想自体がポスト3.11時代になじまないのではないか。「インフラでの対応には限界があり、計画規模を超える災害は起こりうる」というのが東日本大震災の教訓ではなかったか。

 

堤防整備は当然に今後も着々と進めていく必要があるが、東日本大震災の教訓も含め、予算バンバンつければ万事解決、というような短絡的な話ではない。ハードの整備が終わるのを待っていたら自分は死んでしまう。「絶対安全な殻」は待っていても出来ないのだ。

 

「ハードは当面、未完成」であることを前提にした上で、生命と財産を守るためのソフトをどう構築するかを考えなくてはならない。