あなたのそばにも限界集落

先日、夕張市の高齢化率が50%を越えたというニュースがあった。

www.sankei.com

 

国勢調査によると高齢化率が50%を越えている自治体は2015年10月時点で全国に20あるとのこと。日本全体の高齢化率が26.7%なので、これらの自治体はおおよそ2倍ぐらい高齢化が進んでいるということになる。


このような事例のとおり、高齢化は決して均質にはやってこない。肌感覚としても、高齢化が進んでいるところと、若者が集まってきているところが同じ自治体の中でも顕著にわかれてきているように感じられる。

 

高齢化の"地域差"

先日発表された2015年国勢調査の小地域集計を用いて、字・丁目単位の富山県の高齢化率を分析してみたのが以下のグラフ。

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×が平均値、-が中央値、箱が25%tile~75%tileになる。

 

県内のどの市町村も平均値は概ね30%前後でそう違いはない。ただ、自治体ごとに中央値の位置にズレがあるし、ハコの位置、ヒゲの長さにも差がある。

 

富山市にマトを絞ってさらに深堀し、地区単位で再集計したのが以下のグラフ。

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地区単位≒小学校区単位でみてみると、バラツキがより顕著に出てくる。高齢化率50%超は「限界集落」と定義されているが、限界集落ラインに突き刺さっている地区もある。

 

"あなたの街"の限界集落

限界集落及び隣接する概念が次のとおり定義されている。

準限界集落
55歳以上、人口比50%以上 現在は共同体の機能を維持しているが、跡継ぎの確保が難しくなっており、限界集落の予備軍となっている状態。

 

限界集落
65歳以上、人口比50%以上 高齢化が進み、共同体の機能維持が限界に達している状態。

 

危機的集落
65歳以上、人口比70%以上 9軒以下、高齢化が進み、共同体の機能維持が極限に達している状態。

 
この区分に従って高齢化の進展状況を区分し、図示してみると次の通り。

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限界集落というと中山間地域のイメージが強いが、都市部にも「限界集落」に該当する地区が散見される。55歳以上が50%を超える「凖限界集落」はもはや至る所にある。


「高齢化率」という数字は自治体単位で出てくることが多いが、ミクロなエリアで見てみると行政の発表する数値以上にシビアな状況にある。10年経てば凖限界集落も過半が高齢者になると予想されることから、既に都市部でも持続可能性に疑義が生じつつあるとも言える。

 

例えば富山市のいわゆる中心部で見ても、大部分がオレンジ色の凖限界集落。凖限界集落は過半数が55歳以上なため、あと10年もすれば「中心部が軒並み限界集落」になる。

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子育ての地理的断絶

次に、総世帯数に対する未就学児を含む世帯の比率についても分析を行った。高齢化率の状況以上に、数値の開きが顕著になっている。例えば、同じ市内であるにも関わらず、平均値を大きく上回るエリアもあれば真逆な地区もある。

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次のグラフは各地区が富山市全体の比率(9.2%)にどれだけ貢献しているかを整理したもの。各地区の寄与度と見ていただければいいが、富山市の子育て世帯率を引き上げている地区はわずかで、鵜坂・堀川・藤ノ木等の富山市近郊の新興住宅地がけん引していることがわかる。多くの地区では、人口の再生産が起きていない。

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人口が再生産されない中で、高齢化が深刻に進んだ地区をどうしていくか。これまでは高齢化による過疎・限界集落といった問題は中山間地域や離島などの局所的な課題だったかもしれないが、今後はそれが様々な場所で同時多発的に発生することになる。

 

ポスト・コンパクトシティの都市政策は

最近の都市政策をみると、もはやコンパクトシティ政策は是非を論ずる時期にはなくなってきたなと感じる。「都市をコンパクトにおさめて持続可能な社会にしましょう」というのは絶対正義で反論の余地はもはや無いと思う。ただ、強権を伴わないコンパクトシティ政策は「100年のまちづくり」みたいな話でしかなく、長いスパンをかけて都市構造を変えていくことしかできない。


コンパクトシティを人口減少社会の都市政策ともてはやしてはみたものの、今現在起きている、あるいは、近い将来起きる超高齢社会の都市問題をどうするのか。コンパクトシティ政策はそこに対する解決策は何も提示できない。

 

先日のブログでも書いたが、従来的な開発・規制政策だけでなく、民間を含めたいろんなプレイヤーを巻き込んだ、ポスト・コンパクトシティの新たな都市政策を考える時期に来ていると感じる。

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