無給医問題が地域医療再編の端緒になる

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ここ10年ほど、病院業界では急性期病院をどう集約・再編するかが注目されてきたが、これまで色々な政策誘導が行われてきたものの、なかなか進んで来なかった。

 

先日、大学病院での無給医*1の存在を文科省が認めたことが話題になったが、急性期病院の集約と再編が、2025年問題でも地域医療構想でもなく、無給医問題から動き出すのではないかという気がしている。

 

今までタダ働きしていた医師に給料出すとなると、大学病院は相当な人件費増になる。大学経営を考えれば、医師の給与の原資を生み出す必要が出てくる。

 

手っ取り早く収益性を高めるには、大学が医師を派遣してる関連病院から(医師の人事権をテコにすることで)これまで各病院で行なっていたような急性期治療の症例をかき集めることだ。病床稼働率や手術件数が増えれば、固定費中心の装置産業である病院の収益性は一気に改善する。

 

結果、急性期の患者は大学病院に集約し、関連病院は外来での集患とポストアキュートのフォローが中心になる。期せずして、国が進めてきた急性期病院の再編が行われることになる。

 

特定の大学の医局人事に依存してる自治体病院は、こういう大学病院の方針転換の影響をモロに受けるのではないか。実際、無給医問題が原因ではないが、医局の人材集約の結果、いくつかの病院でそういう役割分担の変化が起こっている事例も仄聞している。

 

これから人事管理をテコに、経営面から地域医療の再編が起きる。

*1:大学院生や専門医を目指す後期研修医による診療を「自己研鑽や研究目的の一環で診療を行っている」として、業務とみなさず給与を払わないのが常態化していた