【読書記録】 階級「断絶」社会アメリカ: 新上流と新下流の出現

チャールズ・マレー著、「階級『断絶』社会アメリカ: 新上流と新下流の出現」を読んだ。

 

今も昔も「格差」はあったが、上流層も下流層も一定の範囲内で共通の「文化」を共有していた。ところが、この50年(本書の分析期間である1960年~2010年)の間に、知識労働者の増加や大学進学率の向上等が起き、これまでと違った「新上流階層」が生まれたと筆者は捉えている。

知識労働者同士の結婚による二世・三世の誕生と都市部への知識労働者の集積によって、「新上流」と「新下流」は、単に収入や資産の多寡だけの差でなく、住むところから異なるようになり、生活様式や考え方まで乖離してしまった。

これにより建国以来共有されてきた「アメリカ」的な考え方が崩壊しつつある、というのが大まかな本書の内容。

 

じつはこれ2018年に買ったんですが、2年ほど積読していて、最近ようやく読み切りました。遅。

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公的病院の再編統合は単なる”金勘定の問題”ではないよという話

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昨秋の話になるが、厚労省が開催している「地域医療構想に関するワーキンググループ」の第24回目で、病院のあり方について「具体的方針の再検証を要請」すべき医療機関が公表された。全国で424の公的病院が指名され、地方紙を中心に一部メディアが大騒ぎになった(その後、データが精査され、最終的には440病院となっている)。

 

厚労省が個別医療機関を名指しするに至るまでには長年の議論の積み重ねがあり、病院業界にいる人間にとっては(公的・民間を問わず)病院のダウンサイジングや再編の必要があるというのは概ね業界のコンセンサスになっていた。また、この検証の動き自体も、かなり前から同WGで議論されており、「やっと公表されたな」という印象だった。

 

ただ、WGの資料がここまでマスコミに注目されてしまったのは厚労省的にも予想外だったようだ。公表の翌日(27日)に医政局名で 地域医療構想の実現に向けてと題して以下のフォローの声明を追加で発表するなど、厚労省の動揺が窺える(強調は筆者による)。

今回の取組は、一定の条件を設定して急性期機能等に関する医療機能について分析し、各医療機関が担う急性期機能やそのために必要な病床数等に ついて再検証をお願いするものです。したがって、必ずしも医療機関そのものの統廃合を決めるものではありません。また、病院が将来担うべき役割や、それに必要なダウンサイジング・機能分化等の方向性を機械的に決めるものでもありません。 

今回の分析だけでは判断しえない診療領域や地域の実情に関する知見も補いながら、地域医療構想調整会議の議論を活性化し議論を尽くして頂き、2025 年のあるべき姿に向けて必要な医療機能の見直しを行っていただきたいと考えています。その際、ダウンサイジングや機能連携・分化を含む再編統合も視野に議論を進めて頂きたいと考えています。

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八ッ場ダムを安易に”物語”化するのはやめよう

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2019年の台風19号は豪雨、暴風、高潮等、様々な要素が短期間に来襲し、しかも東海~関東~東北と広範囲にわたって被害をもたらした。

特に被害が大きかったのは洪水で、47河川で堤防決壊、決壊には至らなかったものの堤防を越えて水があふれだす「越水」は181河川で発生した。

昨年の西日本豪雨に続く広範囲な水害で、今後の地球温暖化も考えれば、ソフト・ハード両面での備えがいかに重要か、改めて痛感させられる事態となった。

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