2015年3月に北陸新幹線は富山を経由して金沢まで延伸されます(今は長野までで運航中*1)。
新幹線延伸後は、現在4時間ぐらいかかってる東京―富山間が、最速2時間7分まで短縮される見込みです。
今日(12/2)、長野~新黒部(黒部宇奈月温泉)間をJR東日本の総合試験車のEast iが初めて走行しました。今冬に試験走行を行い、雪対策を行うための”走り初め”です。富山県内を新幹線車両が走行するのは初めてのことで、今日のニュースは新幹線の話題で持ち切り。
(参考)KNB NEWS 「北陸新幹線試験走行始まる」
僕は役所にいた時、整備新幹線を担当していたこともあって、北陸新幹線については、地元だという理由以上に思い入れがあります。
開業まであと1年3カ月ともう少し時間がかかりますが、ここまでくれば後は順調に時を待つだけという段に来ています。事業継続も危ぶまれた■■■のときや■■■事件のことを考えれば、「よくぞここまで・・・」という思い。
きっとかつての僕のように、これまでの40年間でいろんな人がハラハラしたり汗をかいたりして、どっこい事業が続いてきたんだと思います。
さて、新幹線というと「我田引鉄」なんて言葉も有名なくらい、政治とのいろんなウワサが絶えない公共事業でもあり、「無駄な公共事業」の象徴として、あることないこと言われて蛇蠍のようにマスコミからバッシングされていたのを強烈に思い出します。
ただ、最近はJR各社の営業戦略がうまくいっているのか、はたまたようやく市井の人たちにも新幹線の有用さが理解されてきたのか、比較的よく評価されることが増えてきたような気がします。JR九州の全線開業CMも、震災で気がめいっていた時期であったこともあり、とても好評でしたね。
そんな九州新幹線も、着工当時は週刊誌や新聞から「古○誠新幹線だ」だの「鹿児島に行く人間なんていない」だの散々な言われ方をしていたようでした。翻って、開業して2年たった今、そういうことを言う人間はおそらくほとんどいないと思います。
九州新幹線全線開業 祝!九州縦断ウェーブ CM「総集編」180秒ver. - YouTube
東海道新幹線だって、最初にプロジェクトを立ち上げた時は「いまどき鉄道なんて時代遅れの遺物」「第二の戦艦大和になる」なんてこきおろされていましたが、今や世界中で高速鉄道が作られている中では、隔世の感があります。
Uターンして富山に戻ってきた今、僕が気にしていることの1つは、2兆円近い額をかけて長野からここまで延伸させたこの新幹線を決して無駄なものにしてはいけない、ということ。
インフラは、そこにあるだけなら、ただのコンクリートや鉄のかたまりでしかなくて、まったくの価値中立な存在です。それを、東海道新幹線や九州新幹線等のように「やっぱりできてよかったね」と思われるものにするか、「やっぱりムダだったね」と思われるようになるかは、そのユーザーがどれくらい有効に活用できたかによると思ってます。
「ムダだ」「失敗だ」と騒ぎ立てることは簡単ですけど、少なくとも僕は、自分が一時でも関わって進めたプロジェクトを、そういう評価で終わらせたくない。
僕のように直接かかわっていなくても、地元の人も層でない人も、税金を通じて間接的にこのプロジェクトに投資をしているわけで、傍観者を決め込むのはもったいないことだと思います。
東京ー富山間が最速2時間7分、10年後に敦賀まで延伸すれば富山ー大阪は最速2時間20分ですが、このチャンス、どう生かすか。観光に来るもよし、ビジネスの拡大に使うもよし、どうあれ、いろんな人にこのチャンスの当事者になってもらいたいと思います。
*1:「長野新幹線」って本当は北陸新幹線の俗称なんです